日記

アメリカモーテル事情、その3(後編)

で、通された部屋というのがめちゃくちゃ狭い。
ベッドでいっぱいいっぱい、という感じです。
でもまぁ、文句はいうまい。
だって安いんだから。
日本人の私達、狭い部屋なんていくらでも知っとるわい。
その部屋は一階とはいっても半地下のようになっていて、通りに面した窓からは通行人がすぐそこに見えるわけですが、私達より少し高い立ち位置になるので、外からは部屋の全貌がまる見えということになり、なんだかちょっと恥ずかしいのでした。
しかも窓の一枚はガラスが割られてはずされており、そこはダンボールとガムテープ(!)でふさがれているだけなのです。その辺り一帯は決してガラが良いとはいえない地帯であるにもかかわらず、そのうえ一階であるにもかかわらず、です。さらに、そのテープも外れかけていて隙間が空いているという状態です。
それだけではありませんでした。
部屋の大部分を占めているベッドを見ると、シーツも枕カバーも洗濯されてパリッとしてはいるのですが、どう考えても「血」としか思えないシミがあちこちにあるのです。
血によく似ているが、血ではないシミというのをいろいろ考えてみましたが、それはどう考えても、間違いなく、やっぱり「血」としか思えないのでした。
さすがに少し不安になった私達はフロントへ、窓のところのテープが取れてダンボールが外れそうだと訴えに行きました。
すると返ってきた言葉は、
「あー、今テープないねん。」
「・・・・。」
テープを買いに行って自分で直すことにした私達は(それでもホテルを替わろうとは思わない我々でした)、出る前に念のため、
「あのー、この辺って危険?」と尋ねると
「そんなことないよ、大丈夫!」と返ってきたので、少しホッとしていると、
「あ、でも夜はちょっと危ない。」
「!(やっぱり危険なんじゃないか!)」
と声にはならずに思っているところへ、「ところで君達日本人?」と逆に聞いてきます。
そうだ、と答えると「じゃ、空手できるやろ」と当然のように言うので、店主が「柔道ならやってたことある」というと、
「じゃ、これを持ってたら大丈夫!!」と手渡されたものは・・・
「ヌンチャク」でした。
「・・・・。」
訳の分からんやりとりを終え、我々はテープを買いに行き、何でこんなことしとるんやろう・・と思いながら、窓のダンボールをやり直し、ヌンチャクは使うことなく、無事翌朝チェックアウトしたのでした。
                        (おしまい)     

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