日記

確立問題

先日、知人としゃべっていて思い出した話です。
昔々、私には大層気に入っていた帽子がありました。
それはフランス製で、フェイクファーで出来ており、被るとたんぽぽの綿毛か綿棒みたいで、しかも暖かいので私の冬のお気に入りでした。
だから真冬のアメリカへ行くときも被っていったのです。
その綿棒みたいな帽子(以下、綿帽)は突き刺すような冬の寒さからもしっかりと私を守ってくれました。
それなのに、そんな大事な帽子を私はホテルの部屋に忘れてきてしまったのです・・・。気付いたときはもうすでにホテルを遠く離れており、取りに戻ることは不可能でした。
それから随分経ち、もう帽子のことも忘れかけていた頃、ある日出勤するのにモトコーを歩いているとき、あるお店の前で私の目は釘付けになりました。
そこには見覚えのある帽子が・・・。
いや、見覚えがあるなんてもんじゃない、
見れば見るほど、手にとって内側なども見れば見るほど、頭の中も胸の中もザワザワしてきました。
だってこれは私の綿帽に間違いありません!
大のお気に入りでしたから細部もよく憶えています。
もともと私が以前働いていた古着屋で買った中古のものでしたが、フェイクファー部分の微妙な色の混じり具合、内側についたタグ、頭のてっぺんのところについたグログランリボンのつまみのその色までまったく一緒。
私が作ったり、作ってもらったりした一点ものではありませんので、同じメーカーの同じ帽子、ということももちろん考えられますが、KANGOLのベレーやハンチングならともかく、あんな帽子・・・・
しかも手に取って触った感じのなつかしいあのくたびれかげん・・・
私の綿帽だと考える方が自然な気がしました。
「こんなところでまた出会えるなんて・・・!これは買い戻すしかない」と感激しながら、値札を探したのですが見当たりません。
店員さんに、「これはおいくらですか?」と尋ねると
「それは売りものではないんです。」
「・・・・(ガーン!)」
それ以上何も言えなくなり、すごすごと自分の店へと戻った私でしたが、やはりいてもたってもいられなくなり、せめてどこで仕入れたのかだけでも・・・と思ってもう一度行って尋ねたのですが、
「それは店長の私物なのでよく分かりません。」とのこと。
その後、店長さんのいる時に再び行って詳細を尋ねたのだったかどうか・・・・スイマセン、忘れてしまいました。
う~ん、尋ねたような気もしますが、でも憶えていないということは満足のいく回答は得られなかったということでしょう。
それにしても、アメリカで失くした帽子に再びめぐり合える、しかもごく近所のお店で・・・この確率って一体どれくらいなのでしょうか?
宝くじに当たるのとどっちがスゴイのか、(例えが宝くじってのが陳腐だなぁ、我ながら)
今ではそのお店もなくなってしまいました。
さて再び出会えるその確率は・・・
これはやはりないに等しいでしょうか?

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