日記

変人の証拠

毎日の通勤途中、しばしば顔を合わせるおばさんがいる。
この他人の顔覚えの最悪な私でもすぐにおぼえてしまったくらい、なんというか印象深い、異様な雰囲気を漂わせたおばさんで、年のころは60歳くらいか、眼光鋭くて、何だかハゲタカみたいなのだ。
どう異様なのかというとこれが説明しにくくて、べつに奇声を発しながら歩いているわけでなく、変な動きをしているわけでなく、とんでもない服装をしているというわけでもなく普通におばさんの普段着らしいゆるい格好をしてショッピングカートを引いて歩いているだけなんだが、強いていうなら、そのゆるさとあの眼光が不釣合いというのか、服装のアイテムが何だかワンテンポずれているというのか・・・。
とにかく私にとって気になるおばさんであったのだが、一昨日おばさんに行きあったとき、とうとう発見してしまった。
おばさんはどうやら帽子が好きで(日傘は差さない)いつもかぶっているのだが、そのときはつば広の黒い麦わら帽子をかぶっていた。そしてそれになんとカラスの羽を2、3本挿していたのだった。(ついでに漆塗りのかんざしも挿していた)
カラスの羽・・・・
やっぱり普通の人じゃなかったんだわ。
わかりやすい印を見つけたようで、私はすっかりうれしくなってしまった。
これはたとえば刑事がクロだと確信して追い続けてきた容疑者の動かぬ証拠をつかんだときのような「やった」感というか、「よっしゃ」感といおうか。
ちなみに店主は別の日に、野球帽みたいなのをかぶっているおばさんが、それに毛糸をぐしゅぐしゅにしたようなよくわからないモノをつけているのを見たそうだ。
キャッ、やっぱり変人だ。

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